Gentaro Guitar School

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楽器遍歴(前編)

高校生のとき、自宅のある阿佐ヶ谷から学校のある上板橋まで、1時間ほどかけて自転車通学をしていました。
途中、踏切のすぐそばに小さな楽器屋さんがあり、そこで大量生産の2万円の楽器を購入(下の写真)。

その楽器は、最近までレッスンで使っていましたが、ついにブリッジが表面板からはがれて、万事休す!
47年もの間、よく持ちこたえてくれました。
今まで高い楽器も買いましたが、最も愛着のあり、思い出が詰まっている楽器です。

大学に入り、アルバイトで貯めたお金で購入したのが、河野ギターの20号(松)でした。当時は、20号=20万、30号=30万、50号=50万というわかりやすい価格設定。
この河野ギターを皮切りに、14台ものギターを渡り歩くことになります。

以下、各々、簡単に印象を書いてみたいと思います。
(あくまで個人の感想ですのでご注意ください)

★河野ギター20号(松)

20号を購入。音は甘め、重めで、粘りのある太い音が出る。音色の変化が秀逸。低音はややクリアさに欠ける。コンサートホールでも遠くまでよく響く。
歌心のあるギタリストが弾くと、天下無敵。以前、山下和仁、ウラジミール・ミクルカ、渡辺範彦の各氏が同じステージで順番に演奏したことがあったが、渡辺氏の弾く河野ギターが最もよく鳴っていたと思う。
日本の誇る世界の銘器。

★ホセ・ラミレス2世(杉)、スペイン

言わずもがな、スパニッシュギターの銘器。音が甘く、大きい。5年くらい使いました。この頃のラミレスはおすすめだが、当時はサイズが大きかった(660ミリ以上)ので、手の小さい人には少しきつい。

★河野ギター20号(杉)

桜井正毅氏のご自宅にお邪魔して、杉の楽器を作っていただいた。
福田進一氏がパリの国際ギターコンクールで優勝したときに使ったのが、河野ギターの「杉」!
低音がややクリアさに欠ける「松」に比べ、クリアでバランスが良い。個人的には、河野は「松」よりも、音抜けの良い「杉」が好きだ。

★ホセ・オリベ グランスプレマ(杉)、アメリカ

私のホームページに掲載している動画で、表面が赤茶色の楽器がこのオリベ。バッハや「南のソナチネ」「ファンダンゴ」などをこの楽器で演奏。
ラミレスより弾きやすい楽器を求めて購入。弦長658ミリだが、ネックが細く弾きやすい。
私のギター遍歴の中でも一番長い間使い、コンクールはすべてこの楽器で入賞。
アメリカの楽器特有の音量の大きさ、派手さがあるが、それなりに音色の変化も得られる。深い音はいま一歩なのか。
コンクールのときに、楽器を変えたほうがよいとのアドバイスをいただき、手離す。

★ダニエル・フレドリッシュ 1967年(松)、フランス

私のホームページに掲載している動画で、表面板の白っぽい楽器がこのフレドリッシュ。原博氏の「挽歌」などを演奏。
哀愁のある乾いた音、小ぶりで、バランの良い楽器を探していたところ、ギターショップのメディアカームさんに勧められて購入。
CDはこの楽器で録音。いまだに、手離したことを後悔している。
フランスの楽器らしく、少し鼻にかかったような発音が特徴。

★ローランド・シャルバトケ(杉)、ドイツ

タンス職人だった名工によるギター。恐ろしいほど良いバランス、大きな音量、立体感が得られる。
杉の楽器だか、松の楽器のように締まった音で、抜群の構築力を発揮する。
バッハや古典を弾くには素晴らしい楽器だったが、あまりに完璧すぎ、もう少し「ゆるさ」「甘さ」が欲しくなり、手離す。
下の写真は、シャルバトケとのワンショット。真四角なヘッドの形が特徴的。

★トーマス・ハンフリー ミレニアムモデル(松)、アメリカ

「誰が弾いても」良い音がする。素晴らしい楽器。少し河野ギターに通じる部分があるか。レイズド・フィンガーボードが、音量を増大させる画期的な革命ギター。

続きは、後編へ

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