宇都宮市で開催された、ギタリスト・田部井辰雄氏のコンサートに行ってきました。
コンサート会場は、宇都宮市新里町丁にある「一芸館」という小さな町のホールです。宇都宮駅からは車でも距離のある場所で、民家の中にポツンとたたずんでいます。
木造りのホールで、小さな喫茶店も併設され、温かみのある非常に心地よい空間でした。
以前は、ギタリスト・渡辺香津美氏などのコンサートも行われたようです。大都市の大規模ホールでのコンサートもよいですが、地方都市のこういった地域密着型の小さいホールでの「質の高い」コンサートは、大変すばらしいと思います。
当日は、100名収容のところコロナ対策で半数の入場制限となったようです。
田部井氏のギター人生に連れ添った4本のギター(ヘルマン・ハウザー1世1951年、野上三郎、西野春平、ヘルマン・ハウザー1世1937年)がステージ上に並べられ、プログラムごとの弾き比べもされました。また、氏と各々のギターとの関わり、歴史が語られ非常に楽しい時間でした!
とくに、ヘルマン・ハウザー1世(1937年)は、巨匠アンドレス・セゴビアが使用していた楽器が博物館に寄贈され、それを日本人の楽器商が入手し、その後、田部井氏の手に渡ったそうです。そのとき、楽器はかなりくたびれた状況だったようですが、氏が自身で塗装など、もろもろ手を入れられたとのこと。
演奏は、第2部最後のマジョルカ(アルベニス)、ソナタ第3番(ポンセ)が、とくにすばらしかったと思います。音は、クリアで、なおかつ、太いが、その先端は鋭くはじき出され、決してボケることがない。ムダなものが排除され、エッセンスだけが伝わった、圧巻の演奏でした。