Gentaro Guitar School

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成蹊大学ギターソサエティー(後編)

写真:第15回的演奏会(赤坂・都市センターホールにて、前列右端が筆者)

●ギター合奏のオリジナル曲

前編では、私が所属していた「成蹊大学ギターソサエティー」(通称:ギタソ)について紹介しましたが、ギタソは非常にユニークな活動をおこなっていました。毎年、日本の新進作曲家に「ギター合奏のオリジナル曲」の作曲を委嘱し、ギター合奏の可能性を追求していたのです。

比較するのも何なんですが、、、ギターの巨匠、アンドレス・セゴビアがギターの地位向上、発展を目指し、著名な作曲家にギターのオリジナル曲の作曲を依頼し、クラシックギターのレパートリーを大幅に広げたように・・・。

大学のほとんどのギター合奏サークルが、ポピュラー音楽やクラシック音楽の編曲ものを演奏していたなか、合奏のためのオリジナル曲を作ってもらい演奏するという非常に特異な活動を、長年にわたり伝統的におこなってきたのです。

作曲家の先生も学生の熱意(これしかないのですが)にほだされ、本気で取り組んでいただけたのではないでしょうか。それによって芸術性の高い作品に多く恵まれたと思います。他の合奏団体や大学のギタークラブなどから「楽譜を譲ってほしい」などのうれしい依頼もいただきました。

●CD・楽譜も出版

私は、ギタソの歴代のコンサートマスターの林黄太氏(浜松市在住)、鹿柴正幸氏(山形市在住)とともに、この貴重な作品を後世に遺したいという意図から、CDにしました。

また、一部の曲は、現代ギター社から出版されています。邦人曲というと「前衛的な曲が多いのでは?」と想像される方も多いかもしれません。一部そういった曲もありますが、メロディックで親しみやすい曲が多いのです。
ここから少し、代表的な曲について触れてみましょう。

●そうそうたる顔ぶれの作曲家たち

作曲家はそうそうたるメンバーが名を連ねています。
学生団体なので予算が厳しく、まだ有名になる前の新進気鋭の作曲家を選んで、曲を依頼していましたが、その作曲家が後々有名になったと言ったほうが正しいでしょう。

『ギターアンサンブルのための組曲』(原 博)

第3楽章「挽歌」は、ソロ曲に編曲され、楽譜はギタルラ社から出版されています。第60回東京国際ギターコンクール(2017年)の本選課題曲になったこともあり、広く弾かれるようになりました。
ソロ曲、3重奏曲ともに、CD「原博ギター作品集」に収録。
ただしソロ曲は、ギタルラ社版ではなく、私が新たに編曲し直しています。
3重奏曲は、楽譜「オフランド 原博ギター作品集」(現代ギター社)として出版されています!

『SUENO MEJICANA メキシコの夢』(金田成就)

この曲も、現代ギター社から楽譜「ギター三重奏のための メキシコの夢」が出版されています!

『ギターアンサンブルのための 見知らぬ国への祈り』(福島雄次郎)

キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラに捧げられた曲で、タイトル通り異国情緒に溢れた曲です。

『古い形のソナタ』(早川正昭)

新ヴィヴァルディ合奏団の共同創設者で指揮者でもある早川正昭氏による作品です。現代的な音の使い方、雰囲気と、バロックを思わせる絶妙な構築性が、バランスされた超お気に入りの曲です。

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●委嘱作品一覧       ※作目、初演年、曲名、作曲家名、★印はCD収録曲。

第1作 1968年『ギターアンサンブルのための組曲』(原 博)★
第2作 1969年『沖縄の印象』(杉本信夫)★
第3作 1970年『ギター合奏のための古典組曲』(金光威和雄)
第4作 1971年『ディヴェルティメント』(田鎖大志郎)
第5作 1971年『ギターアンサンブルのためのコンポジション』(柳田孝義)
第6作 1972年『祭りのある風景』(田村 徹)
第7作 1973年『ギターアンサンブルのための3章』(中村節也)
第8作 1974年『青春賦』(山内 正)
第9作 1974年『スケッチブック』──小編成のための委嘱作品(中村雪武)
第10作 1975年『3群のギターの為の Circles』(新倉 健)
第11作 1976年『ギターアンサンブルのための 見知らぬ国への祈り』(福島雄次郎)
第12作 1977年『ソナタ』(菅野浩和)
第13作 1977年『ギターオーケストラのためのコンポジション』(坂 幸也)
第14作 1978年『古い形のソナタ』(早川正昭)
第15作 1979年『Les Cinq Tombeaux』(真鍋理一郎)★
第16作 1980年『SUENO MEJICANA メキシコの夢』(金田成就)
第17作 1980年『SUITE ANTIQUE POURGUITARES ギターのための古風な組曲』(大能正紀)
第18作 1981年『3つのコンポジション』(宗像 和)
第19作 1982年『ギターアンサンブルのためのソナタ』(磯塚一誠)★
第20作 1983年『SUITE ARCHAIQUE 古風な組曲』(小嶋貴文)★
第21作 1984年『ギター合奏のための音楽』(柳渾 剛)
第22作 1985年『黄色い鳥の居る風景』──ギター合奏によるジャズ・イディオムの試み(小嶋知幸)
第23作 1986年『ギターの為の11の小品』(久木山 直)

以降、49作まで作られているようですが、上記以外は、成蹊大学ギターソサエティーのブログサイトでご覧ください。

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