
写真:アントニオ・サンチェス Estudio-2/63 杉
ブログ「初めてギターを買うとき、どうしたらいい? Part.3[弾きやすさ]」でも紹介しましたが、
女性やお子様など、手の小さい方には、左手の押さえやすい弦長(弦の長さ)の短いギター(「ショートスケール」モデル)をおススメしています。
通常、弦長は650ミリなのですが、620ミリ、630ミリのものが販売されています。
お子様用では580ミリや530ミリなども売られていますが、今回は、620ミリ、630ミリに限定して、なるべくリーズナブルな価格のものを、ご紹介しましょう。
価格は、ネットなどの店頭販売価格を掲載しています。価格は変動する可能性がありますので、「J-guitar」や各ギターショップのWebサイトでご確認ください。
なお「松」「杉」は、表面版の材質の種類です。
●オルフェウス・ヴァレー・ギターズ
Orpheus Valley Guitars「S62C」「S63C」「R63S」

オルフェウス 630ミリ 杉
ブルガリア製で、バイオリンの製作でも有名な「クレモナ(Kremona)工房」で作られています。
創業1924年で100年の歴史を有する工房だけあって、なかなか良い音がします。
日本では「オルフェウス」「クレモナ」などのブランドが売られていますが、今回は「オルフェウス」をご紹介します。

アンティークな雰囲気のラベル

美しくセンスのよいモザイク
低価格帯でありながら、表面版が「合板」ではなく「単板」で作られており、お買い得感があります。
表面版の材質は、「杉」「松」の2種類があり、弦長も各々、620ミリ、630ミリから選ぶことができます。
個人的には「杉」が好きです。軽く弾いて音量もあるので、力のない女性には最適だと思います。
筆者の生徒さんも何名か使われています。
「S63C」杉 ── 店頭価格35,200円(税込)
「R63S」松 ── 店頭価格35,200円(税込)
「S62C」杉 ── 店頭価格35,200円(税込)
●アントニオ・サンチェス
Antonio Sanchez「Estudio-1/63」「 Estudio-2/63」

Estudio-2 松(左)と杉(右)
アントニオ・サンチェスは、クロサワ楽器のホームページによると「スペイン・ヴァレンシアの都市パテルナの工房で作られている」とのことですが、価格帯によって、生産国が違うかもしれません。
生産国よりも、
・実際に弾きやすいのか、どのような音が出るのか
・メンテナンスをしてくれる信頼できる楽器店で購入する
といったことのほうが、重要でしょう。

Estudio-2 のモザイク 松(左)と杉(右)
「Estudio」シリーズは、「杉」「松」の2種類が作られています。弦長は、630ミリ以外に640ミリもあるようです。
Estudioモデルは、以下2種類の価格帯で販売されています。
「Estudio-1/63」630ミリ ── 店頭価格61,600円(税込)
「Estudio-2/63」630ミリ ── 店頭価格70,400円(税込)
価格差は、側面と裏板の材質です。
安いほうの「Estudio-1」は、「ブビンガ」というアフリカの広葉樹を使っています。幹の直径が3メートルを超える熱帯雨林の巨木で、硬い材質です。現地では「神様が宿る木」ともいわれ、崇拝されているようです。
ギターでよく使われるマホガニーに似ているともいわれます。
1万円ほど高い「Estudio-2」のほうは、中南米で多くとれる「マホガニー」で、ワシントン条約で伐採禁止となっており、在庫利用のため、その分高価です。
表面版の周りに、白いふちどりがあり(メインビジュアル参照)、とてもおシャレなデザインです。
筆者も、レッスン用に「Estudio-2」の松と杉を1本ずつ使っています。
●小平ギター
KODAIRA「AST-70L」
精度の高いギター作りは、信頼度No.1です。
日本の気候変化の中で、長期間乾燥させた材料を使うことは、狂いの少ないギターを作るうえでは大きいアドバンテージでしょう。
型番「AST-70L」の「L」は「Lady」モデルの略だと思いますが、この「L」が付いているものが、630ミリのショートスケールモデルです。
「AST-70」 ── 店頭価格66,000 円(税込)
●アリアギター
ARIA「A-50S-63」「A-50C-63」
ショートスケールというメリットだけではなく、ギターのネックが細めで、とても押さえやすいギターです。
ショートスケールの楽器をいろいろと試奏した中では、左手のフィット感は一番しっくりきました。
「杉」「松」の2種類が販売されています。
「A-50S-63」 ── 店頭価格52,800円(税込)
「A-50C-63」 ── 店頭価格52,800円(税込)
●マルティネス
Martinez「MR-630S」「MR-630C」
マルティネスは、1978年にドイツで設立。スペインの伝統的な製作方法で手作業にこだわって製作されていますが、一部は国外での生産となっています。
筆者も、練習用に5万円くらいのマルチネスのフラメンコギターを使っていますが、
ネック形状が薄めで、非常に押さえやすく、狂いの少ない楽器です。
「MR-630S」松 ── 店頭価格39,600円(税込)
「MR-630C」杉 ── 店頭価格39,600円(税込)
●タカミネ
TAKAMINE「NO.35S」
タカミネは、学校のギタークラブなどで新入生用のギターとして多く使われるなど、信頼度の高いメーカーです。筆者もギターをはじめたころ、愛用していました。
2種類の弦長から選ぶことができます。
「NO.35S-4」640ミリ 松 ── 店頭価格86,400円(税込)
「NO.35S-3」630ミリ 松 ── 店頭価格86,400円(税込)
以上ですが、ご紹介した以外にも、ショートスケールを作っているメーカーがあります。
●ARANJUEZ アランフェス(日本)
「707L」630ミリ 杉 ── 店頭価格77,000円(税込)
●パコ カスティージョ Paco Castillo(スペイン)
フラメンコギターも作っているメーカーです。
「201 7/8」635ミリ 杉 ── 店頭価格44,000円(税込)
●オラ HORA(ルーマニア)
この価格で、表面版(松)とサイド、バック(メイプル)がオール単板というのが驚きです。
「Hola」はスペイン語で「やあ」とか「こんにちは」の意味。
「7/8」620ミリ 松 ── 店頭価格26,400 円(税込)
「J-guitar」に掲載されているギターショップを訪問して、店員さんのアドバイスを聞きながら、弾き比べてみることをおススメします。