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右手のコツ Part.1[構え方の基本]

多彩な音を紡ぎ出す巨匠、ジュリアン・ブリームの演奏フォーム
出典:YouTube「Julian Bream Concert 1978」(RareGuitarVC)

 

このブログでは、実際のレッスンで筆者が見てきた、多くの生徒さんがおちいりやすいミスと、その対策を紹介しています。

今回からは「右手」です。
ギターの世界ではよく、「左手は職人、右手は芸術家」などと言われます。
曲の理想のイメージは演奏家の頭の中にあるのですが、右手はそれを100%伝えることができるか、という点で重要な部分です。

まず、構え方です。
構え方を間違えると、「弾きづらい」「弦を押さえづらい」など、影響が出ますので、要注意です。
まず、構え方の基本を、順を追って見てみましょう。

●STEP1 全体姿勢 3つのポイント

下の写真は、全体の姿勢ですが、ポイントは3つです。
1 椅子に浅く腰かけ、左足を足台に乗せる
2 ギターのボディのくびれた部分を左足の太ももに乗せ、右足は外に大きく開く
3 ギターの先端(ヘッド)の部分が左肩よりも上になるように構える
(ヘッドが低いようなら、足台を高く調整するか、ギターの角度で調整)

右手はブリッジ寄りで演奏(通常は2センチくらいヘッド寄り)

●STEP2 前腕をギターの一番幅広い部分に乗せる

写真左上の黄色いマークのあたりに前腕を置く

 

正しい右腕の位置

 

❌右ひじの位置が左(ブリッジ側)にズレて、ギターを抱え込んでしまう

自由度が失われサウンドホール側で弾きにくくなる

 

❌右ひじの位置が右(ヘッド側)にズレて、安定感の欠けるフォームになる

ブリッジ側で弾くことが難しくなる

 

●STEP3 右ひじから5センチくらい先の部分を乗せる

正しい右腕の位置。ひじの5センチ先あたりを乗せる

 

クラシックギターでは、自分が伝えたい表現のために、1曲の中で頻繁に音色を変えることがあります。
たとえば、
・ブリッジ側で弾くと硬くハッキリした音
・サウンドホール側で弾くと柔らかくやさしい音
が出ます。
曲想に合わせ、いろいろな音を使い分けるために、その都度、弾く位置を変えます

ジュリアン・ブリームの上記TouTunbe動画をご覧いただくとよくわかると思います。
その移動がしやすいのが、この構え方です。

 

●STEP4 力を抜く

前腕を乗せたあと、右腕の力を抜くと、写真のようにダラっとなります。
この「オバケだぞ〜」の形が、もっとも力の抜けた手の構え方になります。

「オバケだぞ〜」の形に

 

●STEP5 右手の弦上への移動の仕方

右手を弦の上へ移動します。
その際、サウンドホール(ギターの中心に空いている穴)のまわりにほどこされた装飾(モザイク)部分に、手を配置します。
このモザイクの位置で弾く音は、柔らかすぎず、硬すぎず、中間の音が出ます。

弦上へ手を移動する際、注意したいのが、

「手首から移動する」
「指先から移動しない」

ということです。

「右手首に釣り糸がひっかかって、上へ吊り上げられる」
というイメージをもち、力を抜いて、「手首から」動かすことが大切です。
この2つの違いを動画で見てみましょう。

「手首から移動する」

,

 

「指先から移動してしまう」

,

 

指先から移動することによるデメリットは次回のブログで紹介します。

●STEP6 正しい指の置き方

親指を6弦、人さし指を3弦、中指を2弦、くすり指を1弦の上へ乗せます。
このとき、重要なのが
人さし指、中指、くすり指の「延長線上」に親指を置く
ということです。
こうすることによって、手・腕の重さを、各弦に均等にかけることができます。

親指は各指の延長線上に

各指の重さが、各弦に均等にかかるベストな状態

 

今回はここまでです。

余談ですが、筆者の祖父は日本橋で呉服屋を営んでいたため、
家の壁には姿見のための大きい鏡が何枚も張ってありました。
独学だったころ、よくその前で練習をしたのを思い出します。

皆さんも、小さい鏡でもよいので、構えを一度確認してみるとよいでしょう。
弾いている自分を客観的に見る機会は、そう多くはありませんし、大切だと思います。

 

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